フウラン(Vanda falcata)の栽培管理方法をわかりやすく解説しています。

フ ウ ラ ン (Vanda falcata)栽培方法 

  トップページ品種別栽培管理方法はこちらから > フウラン年間栽培管理方法  
 

フウラン年間栽培管理方法

先ずは栽培ポイントをしっかり読んで、栽培方法、育て方をイメージしてください。

 

 ■ 栽培ポイント

  ・ 置き場所は、南向きで風通しと陽当たりのいい場所ですが、西陽には当てないようにします。
    棚の上に置くか吊るして栽培します。

  ・ 風を好むランですので、風通しには十分注意してください。

  ・ 直射日光にはわりと強いランですが、夏季は50%程度の遮光をした方がいいでしょう。

  ・ 固形肥料は根が傷みやすいのでなるべく与えないほうがいいです。液体肥料がお勧めです。

  ・ マイナス気温にならない地方であれば、一年を通して屋外栽培が可能です。
    水苔植えの株については、秋以降の雨に当てないように軒下あたりで栽培したほうが無難です。

  ・ 開花期が7月頃ですので、成長期における窒素成分が多い肥料は早めに切り上げてください。

  ・ 葉先が尖って固いため、手や指が不用意に当たると怪我をします。
    また灌水時などにノズルなどが葉先に当たったり、隣の鉢や転倒して床などに当たると、
    葉先が潰れて見栄えが悪くなるので十分注意してください。

 ■ 置き場所について

  1 春から秋の終わりまでは、屋外で風通しのいい南向きの明るい棚の上に置くか木の枝などに吊るして栽培した方が良いでしょう。

  2 年間を通して午前中の直射光には当てた方が良いのですが、午後からの西陽は禁物です。
    建物の都合上どうしても西陽を避けられないようであれば、遮光を強めにしてください。

  3 庭等に管理棚を設置するときは、雨水の跳ね返りがかからない高さを配慮してください。
    また、ナメクジが昇って来ないよう棚脚に銅線(電気コードの中身など)や銅板を巻いておきましょう。(ナメクジの忌避効果あり)

  4 水苔を盛り上げて植え付けた鉢は高さがあるため転倒しやすくなりますので、転倒防止対策を必ずしてください。
    園芸店やホームセンターなどに花苗を入れて運んでくる黒色のコンテナがあります。
    1つのコンテナに20鉢くらい入るように仕切られていますので、これを使うと便利です。
    ほとんどのお店では花苗を搬入した後は不用品となり処分するのが大変ですので、お願いすれば分けてくれると思います。

 ■ 灌水について

  1 春〜秋の成長期
   @ 水苔植えのものについては、春になり新芽・新根が動き始めたら、水苔が乾くのを待ってすぐ水を与えます。

   A ヘゴにつけているものや庭木に活着させているものについては、暖かくなってきたら1日2回、朝夕灌水してあげましょう。
      ただし、ヘゴが乾いてなかったり、根が水分を含んで緑色をしている時は控えてください。

   B 夏の高温乾燥期には朝昼夕方と、1日3回の灌水を施した方が株の成長にはいいのですが、
      仕事などでそれが無理な場合は、1日2回の灌水は確実に行いましょう。
      特に、木に活着させている株については水分不足にならないよう気を付けてください。

   C 秋になっても気温が高い日が続きます。最低気温が10〜15℃の間は、通常通り水苔が乾いたら灌水しましょう。
      ヘゴ、木付け植えの株についても通常通り灌水します。
      最低気温が10℃を下回り始めたら、水苔植えの場合鉢内が乾いてから1〜2日後に、ヘゴ・木付け植えの場合、
      1日1回の灌水、できるだけ午前中の暖かい時に行ってください。

  2 冬季
   @ 冬季の室内栽培(無加温:最低温度10〜15℃)は通常通り灌水しましょう。
      ヘゴ、木付け植えの株についても通常通り灌水してください。
      最低気温が10℃を下回り始めたら、水苔植えの場合、鉢内が乾いてから1〜2日後に、
      ヘゴ・木付け植えの場合1日1回の灌水、できるだけ午前中の暖かい時に灌水してください。
      ただ、室内は乾燥しやすいので、毎日霧吹き器で葉へのシリンジは行った方がいいでしょう。

   A 屋外栽培の灌水は、1週間から10日くらいに一度の割合いで十分です。暖かい午前中に灌水しましょう。夕方は禁物です。

   B フウランは極寒になると葉が萎れてきます。これは、枯れたのではなく休眠に入ったサインです。
      暖かい日に時々葉だけにシリンジする程度で構いません。灌水してはいけません。
      春になり暖かくなってきたら自然に回復します。回復兆候が見え始めたら灌水の再開です。
      冬季、葉が萎れて脱水状態になっているときに灌水すると、春になり暖かくなってきたときに、
      回復するどころか葉が黄ばんで落ちてしまいます。

  3 茎頂部に水を溜めない
    フウランは単茎種のランです。茎頂部に水が溜まりやすく、放置すると新芽(新葉)が腐り、株が潰れてしまいます。
    乾燥が激しい日や真夏日の暑い日は、シャワーで株全体に水をかけることを勧めますが、
    茎頂部に水を溜め残さないようにしてください。

    茎頂部に水が溜まって抜け落ちない時は、ティッシュ等で水を吸い取ってあげるか、
    鉢数が少ない時は息を吹きかけて吹き飛ばしましょう。
    株全体に水かけしたときは、しっかりと風を送り水の蒸発を促してください。

                    写真 天頂部に溜まった水で枯れた新芽
                              天頂部に溜まった水で枯れた新芽

  4 水は毎日使う必要量に適したバケツに汲み置きし、塩素分を抜き、株周りの常温に慣らしたものを使うのがベストです。

                                 ページトップへ戻る

 ■ 遮光について

 

  1 冬季30%、梅雨明けの夏場には50%目安で遮光をします。

  2 強い直射光は葉焼けの原因となりますが、午前中の直射光には当てた方がしっかりした株に育ちます。

  3 庭木に活着させる時は、太陽光が当たる側ではなく、反対側の幹や枝に付けます。木漏れ日が当たる程度がいいでしょう。
    木の葉があまりにも生い茂り、暗いのもよくありません。

                               ページトップに戻る

 ■ 肥料について

 

  1 これまでの経験によると、固形肥料は肥料成分が溶け出した付近の根が、細く硬くなって傷んでしまいがちでしたので
    なるべく与えないほうがいいようです。

  2 フウランは特に肥料を必要とするランではないのですが、与えるとするならば
    春から梅雨時期の半ばまで窒素系成分が多い肥料を与えます。
    梅雨半ばあるいは梅雨の終わりごろから花芽が上がり始めますので、いつまでも窒素系成分が多い肥料は与えない方が良いでしょう。

  3 また、花が終わる頃はもう真夏日に入っていますから、開花後の肥料は与えないようにします。

                               ページトップに戻る

 ■ 植え付け・植え替えについて

 

  1 フウランは、水苔栽培、バークチップ栽培、ヘゴ付け・木付栽培など様々な方法で楽しめます。

  2 植え付け・植え替えの時期は春になって、新芽や新根が動き始めてからにします。
    暖かくなっても新芽や新根が動かないうちは、まだ休眠状態から完全に目覚めていない可能性がありますので作業は待ちましょう。
    植替えは水苔植えの場合2年に1回をベースに、根や水苔の傷み具合を検討して時期を決めてください。
    ただし、根腐れが起きている場合は、そのままにしておくといずれ株全体が弱ってしまい、やがて枯れてしまいますので
    時期を問わず植え替えしてください。

  3 水苔による植え付けは、園芸品種で広く用いられている水苔を高く盛り上げて植え付ける方法と、
    他のランのように普通に素焼鉢に植え付ける方法があります。
    普通に素焼鉢に植え付けるときは、乾かし気味に栽培する必要があるので、水苔は硬めに植え付けてください。
    
                   写真 一般的な水苔植え
                            一般的な水苔植え

    水苔を高く盛り上げるには様々な方法がありますが、ここでは初心者向けに簡単にできる方法を説明します。
   @ 冬季の室内栽培(無加温:最低温度10〜15℃)は通常通り灌水しましょう。

    イ  使用する鉢の大きさに見合ったできるだけ丸棒の木炭を準備します。木炭は洗って粉塵を取り除いておきます。
       木炭の高さ(長さ)は、セットした時鉢の高さの倍以上にはならないようにします。倍の高さより若干低いくらいがいいでしょう。

    ロ 木炭を鉢底に立てたら、鉢と木炭を発泡スチロール片で固定します。

    ハ なるべく長めの水苔を木炭に取り付けていきますが、このとき水苔はできるだけ縦になるようにセットします。
       下地の水苔は下の方が広く上部は狭くいわゆるドーム型になるようセットします。

    二 下地の水苔でドーム型を作ったら、その上から押さえの水苔をセットするのですが、
       これに使う水苔はできるだけ長いものを使います。
       長い水苔の長さの半分のところをドーム天辺に置き、残りを下方に被せていきます。
       上から下へとドームに万遍なく被せてください。

    ホ 被せ終わったら白色の木綿糸を巻いて、水苔全体を押さえたら出来上がりです。

    ヘ フウランを乗せるときは根をよく広げてドーム天辺に置き、木綿糸でドームに巻きつけてください。
       木綿糸は根がしっかり活着する頃には、ボロボロになっていますので簡単に取り除けます。

    ト  木綿糸の代わりに、富貴蘭を植え付けるために開発されたアート水苔という水苔の様な糸を使うと目立ちません。

   A ジフィーポットを使う方法
    イ  ジフィーポットは種蒔きや子苗の育苗用として使用される鉢で、材質に主としてピートモスが使われており、
       鉢全体が通気性を持っていて、水も良く通します。

    ロ 木炭同様、鉢にセットしその上に水苔を巻いてください。方法は木炭と同じです。

                    写真 水苔を巻いた木炭に植え付けたフウラン
                         水苔を巻いた木炭に植え付け

  4 バークチップの小さなものについては、3年に1回くらい、大きなものについては、バークが傷まない限りもっと長い期間大丈夫です。
    ここでは大きなバークによる植え付けを説明します。

   @ 株に見合った鉢を選びます。
      そして、その鉢になるべくグラつかず差し込める大きさのバークチップを選んでください。
      大きさは3〜4枚程度差し込めるくらいが適当です。

   A バークチップはあらかじめタワシなどで良く洗って、天日に干すなど消毒をしておきます。オーキッド洋庵では洗った後、
      1,000倍の塩素系漂白剤で1時間消毒し、すすいだ後天日干しにしています。

   B フウランの根を広げて、バークチップに抱かせます。
      そのまま鉢に差し込み、グラつかないように見えないところで発泡スチロール片を使って固定します。

   C 水苔を少し巻いて作業は終了です。

        写真 Lサイズバークチップで植え付けられたフウランの全体像  写真 Lサイズバークチップで植え付けられたフウランの鉢内部の様子
                         Lサイズバークチップで植え付けられたフウラン

 ■ 病虫害について

 

  1 灌水過多は根腐れの原因になるので気を付けましょう。

  2 葉焼けは病気ではありません。
    無風状態で直射光を浴びたり、太陽光が強すぎた場合発生するのです。遮光管理をしっかり行ってください。

  3 洋ランでは様々な病気を心配しますが、フウランは水をしっかり与え、風通しを良くし、適度な日光管理をしていれば
    病気や虫の害はあまり心配いりませんが、カイガラムシには気を付けてください。

  4 カイガラムシは、日常の薬剤散布で予防できますが、株の置き場所、通風管理等通常の管理をしっかり行うことが必要です。
    灌水の度に葉の裏、葉の付け根も見落とさないようチェックしてください。
    それでもカイガラムシを発見したら毛先が柔らかい歯ブラシ等で落とし、手遅れにならないうちに早期に駆除することが大事です。

  5 洋ランに発生する病気の多くは、糸状菌と呼ばれる菌によるものが多く、特に根や地際からの感染が多いようです。
    もちろんハダニなどの虫から感染することもありますが、これらを避けるためには風通しに気を付け、
    灌水し過ぎて鉢内をいつまでも湿らさないよう栽培管理をしっかり行い殺菌剤や殺虫剤を定期的に散布してください。


  6 ナメクジは花芽や根の成長点、花弁などとても大事な部分を食い荒らします。
    薬剤散布はもちろんのことですが、棚の脚や吊り下げ金具に銅版や銅線を巻いて侵入を防いだり、
    日中に鉢底等を点検し捕殺するか、夕方だけに限らず薄暗くなって活動を始めたナメクジを捕殺するしかありません。
    ナメクジは軟腐病の菌を持っていることが多いので要注意です。

  7 灌水過多は根腐れの原因になるので気を付けましょう。

  8 薬剤は、殺菌剤にせよ殺虫剤にせよ同じものばかり使っていると、効果が無くなることが多いので2〜3種類ずつ備えて
    交替で使うようにすればいいでしょう。

    オーキッド洋庵では、ダコニール1000、ストレプトマイシン水和剤、ビスダイセン水和剤等の殺菌剤とオルトラン水和剤、
    マラソン乳剤、アクテリック乳剤、スプラサイド乳剤(購入には印鑑が必要です)等の殺虫剤を交互に組み合わせて、
    定期的に散布しています。

    殺菌剤には予防効果が高いものと、治療効果が高いものがありますので、購入・使用に際しては
    その辺りをしっかり理解したうえで使い分けましょう。


copyright(C)2012 orchid Youan Kunihiro shimmura. All Rights Reserved.
何人たりとも、当サイトに掲載されたイメージ(写真等)記事その他について、無断転載等を禁止します。