デンドロビウム属ノビル系の栽培管理方法を分かりやすく解説しています

開花したアフィラムの花です。淡いピンク色の花弁、リップは白く、周囲には毛状の細裂があります。女性にとても人気があるランです。

ノビル系デンドロビウム (Dendrobium:nobile:記号Den.)栽培方法 

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ノビル系デンドロビウム栽培管理方法

先ずは栽培ポイントをしっかり読んで、栽培方法、育て方をイメージしてください。


 ■ ポイント

  ・  日本のセッコクと交配した品種は寒さに強いのですが、元々は東南アジア一帯の高地の木の上に着生している品種です。

  ・  自生地は雨季と乾季がはっきりしています。
    雨季はほとんど毎日のように雨が降り、乾季になると、ほとんどといっていいほど雨が降りません。
    株は、雨季の間に新しいバルブを発生させ成長します。
    そして、乾季になり低温にあたることで花芽を発生させるのです。

  ・  春から夏の成長期に新しいバルブをしっかり太らせることが大切なので、しっかり肥料を与えましょう。
    ただし、肥料は初夏までとし、猛暑の夏には与えないようにします。

  ・  寒さには強く、5℃前後でも枯れることはほとんどありませんが、冬越しは、せめて10℃は保ちましょう。

  ・  蕾がついた後、高温(25℃以上)にすると蕾が黄ばんで落ちてしまいます。
    蕾を付けさせるコツは、一度低温(5〜7℃)に数週間当ててから室内に取り込むことです。
    霜に当ててはいけません。

  ・  屋外栽培に出すタイミングは、夜間の平均最低温度が10℃を越える頃を目安とします。

  ・  以上のことを踏まえて栽培ポイントは次の通りです。

     成長期の春から初秋にはしっかり灌水を行い、陽に良く当て風通しを良くします。
    風通しが悪いと葉焼けを起こすので、そのような環境では50%程度の遮光をしましょう。

    冬季、10℃くらいの低温処理を2〜3週間ほど行い、その後は15℃〜18℃で通常管理します。
    低温処理期間中は、水を切ることを忘れないでください。  

    蕾は乾燥と高温に弱いのですが、シリンジなどで濡らし過ぎると逆効果で落蕾するので注意してください。   
    成長期の肥料は窒素(N)・リン酸(P)・カリ(K)配合比が同等の液肥を主とし、真夏日前まで与えます。

    梅雨時期を挟んで2ヶ月の間、月に1回固形肥料を与えますが、梅雨を過ぎ猛暑になる前には取り除いてください。
    猛暑が終わったら窒素成分を控えめにしリン酸成分を多く与えますが、1ヶ月程度で施肥を終えます。
    窒素系肥料を長期間与えると花芽が付かず、高芽となってしまいます。

 ■ 置き場所について

 1 春先からの成長期は、午前中太陽が良く当たり風通しが良い場所に置きます。
 
 2 棚に置く場合は、雨水の跳ね返りが届かない高さに棚板を設置しましょう。 
   ナメクジ対策で、棚脚には銅板や銅線などを巻いておくと忌避効果があります。

 3 鉢植えでバルブが長くなる株については、転倒防止対策が必要です。

 4 鉢植えの株でも、太い針金等で工夫し吊り下げて栽培した方が管理しやすいでしょう。
   午前中太陽が良く当たり風通しが良い木の下あたりが最適です。

 ■ 灌水について

 1 春先からの成長期には、コンポスト(植え込み材)が乾いたらたっぷり与えます。
   ヘゴやコルク付けなど乾きやすいものには、一日2回は与えましょう。
   梅雨の雨には当ててもかまいませんが、夜温が下がる秋の長雨には当てないようにします。

 2 晩秋から初冬の時期、バルブ先端に止め葉が出て、バルブが飴色になったら室内に取り込むまで水切りを行い 
   乾季の状態に近づけます。
   水切りは秋になり気温が下がり始め、最低温度が15℃くらいになったら、灌水の回数を徐々に減らし、
   鉢の中の乾き具合にもよりますが3〜4日に1回、平均夜温が10℃を下回り始めたら水を切り低温処理に移ります。

 3 低温処理をしっかり行った後は、朝陽が差し込むような明るい環境の中で15℃以上を保てるようにします。
   風通しも必要です。

 4 この頃から灌水を再開しますが、無加温栽培の場合は1週間に1回程度、温かい午前中に灌水しましょう。
   加温栽培で18℃ある場合は、通常灌水に切り替えます。
   ただし、低温処理した株をいきなり温室へ入れると、ダメージを受けますから
   徐々に温室の温度に近づけていく工夫が必要となります。

 5 低温処理の時期や処理後の温度、地域によって異なりますが、15℃位の管理だと3月中旬から下旬ころ、
   17〜18℃の管理だと3月上旬頃からバルブの節々に花芽が見え始めます。
   花芽が見えてきたらしっかり灌水してください。
   徐々に温室の温度に近づけていく工夫が必要となります。

 6 花芽が成長し蕾になり始めたら、灌水時に蕾に水がかからないよう注意してください。
   ある程度の湿度は必要ですが、濡らし過ぎると落蕾してしまいます。

 7 やがて節々の蕾が開花し始めますが、開花したら灌水を中止します。ランは開花中は休眠状態に近くなるため
   水を全く吸わないか、吸う力が弱くなるので根に負担がかかり根腐れの原因となってしまうのです。

 ■ 遮光について

 1 できるだけ陽に当てて栽培するのがいい結果をもたらしますが、風通しが悪いと葉焼けを起こすので要注意です。
   扇風機などで一日中風を送れる場合を除き、

   春〜初夏と秋には30%程度、盛夏には50%程度の遮光をしたほうがいいでしょう。

 2 日光に十分当たると、バルブが緑色から飴色に変わります。
   飴色はベッコウ色に近い色で、バルブが腐ってブヨブヨになった時と似ていますが、
   色艶に張りがあるので、すぐわかります。飴色になったらほぼバルブの完成です。

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 ■ 肥料について

 1 基本的な肥料の3要素はしっかり覚えて下さい。

  @  窒素成分(記号:)     しっかりした葉を作るために欠かせない肥料です。「葉肥え(はごえ)」ともいいます。
                      成長期には多く与えてしっかりした株作りを行いますが、成長期が過ぎたにもかかわらず
                      いつまでも与え続けると、逆効果が現れ軟弱な株になってしまいます。
                      また、花芽があがる頃からは窒素成分を控えめにしないと、いい花が付きません。

  A  リン酸成分(記号:) 開花には欠かせない肥料です。野菜・果実では充実した実を付けるために必要な肥料で
                     「実肥え(みごえ)」といいます。

                     液肥や固形肥料には元々配合されていますが、単独で与えたり、リン酸成分を多くしたい時は
                     晩夏から与えたらいいでしょう。

  B カリ成分(記号:)      しっかりした根を作るために欠かせない肥料です。「根肥え(ねごえ)」ともいいます。

 2 春になり夜間の最低温度が10℃以上になると株が動き始め新芽が出始めます。
   新芽が芽生え始めたら施肥を始めます。
   N・P・K配合比が同等か、窒素成分が多い液肥を使用説明書に従って与えてください。
   固形肥料は、新芽新根が伸び始めたら与えます。梅雨前から梅雨の後猛暑になる前までの2ヶ月間に月に1回与えてください。
   与える量については、鉢の大きさによって違いますので、使用説明書に従ってください。

   ※ 同じ号数の鉢でも、株数が多い場合と少ない場合がありますので、量の増減は若干あっても構いません。

 3 いつまでも窒素分の多い肥料を与え続けていると、花芽にならず高芽になってしまいますので要注意です。    

 4 気温30℃以上の猛暑日が続く夏季は、施肥を中止します。30℃を下回ったら、
   リン酸成分が多い肥料を1ヶ月ほど与えますが、気温が15℃を下回る頃にはすべての施肥を終了します。

   近くに施肥について勉強できる環境(愛好会など)がない場合は、園芸店・ホームセンターなどで次の肥料をそろえてください。

  @ 発酵油粕(ペレット状固形肥料)
  A 骨粉 (燐酸成分が多い)
  B 液体肥料原液(N・P・K配合比:8-8-8や10-10-10など、同等の混合比)

 5 前記の発酵油粕ペレットや骨粉をお茶袋に入れて与えると、肥料カスが植え込み材やヘゴに詰まらないため
   カビが生えにくくなり、コバエなどの虫が卵を産み付けず、取り換えも簡単なので便利です。
    (下の写真を参考にしてください)

    油粕ペレット 骨粉ペレット お茶袋に入れた状態 お茶袋を輪ゴムで縛り、虫の侵入を防ぐ

   写真の肥料の量は見本です。鉢の大きさ、株の大きさによりその量は加減してください。商品の肥料袋には
   使用数量等が記載されていますので、よく読んで目安にしてください。

   ヘゴにはヘゴ板の上方に吊るして、灌水の時しっかり水をかけて中の養分を流します。
   鉢植えの場合は、なるべく新根から離して置いてください。
   灌水の度に置き場所を変えると袋と植え込み材の間にカビが生えにくくなります。

 ■ 植え替えについて

 1 植え替え・株分けは春になり、新芽・新根が動き始めてから行います、開花時期と重なったりしますので、
   その時は花が終わってしばらく経ってから行います。
   地域によって開花時期が異なるので、一概に●●月といえませんが、だいたい4月〜5月頃になります。
   夜間の平均最低温度が15℃を越える頃になったら作業を始めても大丈夫です。

 2 鉢は深鉢ではなく、標準サイズの素焼鉢を使います。デンドロは根の伸びが遅いので
   深鉢だと根が鉢底に届くのに時間がかかります。
   鉢の大きさは、それまで使っていた鉢より0.5〜1号大きめの鉢を使います。
   株分けや高芽、あるいは茎差し等からの新しいバルブを植え付けるときは、なるべく小さめの鉢を使い
   水苔は固めにして植え付けた方が良いでしょう。

 3 株分けは、混み合ったバルブを切り分けたり、高芽や、「茎伏せ」・「茎挿し」で増やします。

  @ 高芽取り・・・切り取った高芽の根を水苔で巻いて、数年間素焼鉢で栽培します。
            ヘゴにそのまま着けてもいいでしょう。

         
            バルブ先端部分に芽生えた高芽

  A 茎伏せ・・・・ 花が付かなかったバルブ1本そのままを、水苔を敷いたバット等の上に横にしておく増やし方です。
            水苔をカラカラに乾燥させないようにしておけば、やがて節から新芽が出てきます。        

  B 茎挿し・・・・ 花が付かなかったバルブを2節くらいずつに切り分け、切ったバルブの下側を鉢に入れた水苔に挿し込み、
            水苔が乾燥しないように管理しておけば、やがて新芽が出てきます。

         
         2節でカットしたバルブを茎挿しし芽生えた新芽

 4 「高芽取り」・「茎伏せ」・「茎挿し」は、春から夏の間に行います。
    「茎伏せ」・「茎挿し」ともに、数ヶ月から半年くらいで新芽や新根が出始めます。
   新芽が出てから2〜3年くらいで開花株になります。
   新芽が5〜6cm以上、新根が5〜6本以上になったら数株寄せて植え付けてください。



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